快適で理想的な住まいづくりには、設計料が必要です。
住宅の設計や監理にはかなりの手間がかかるので、良い住まいを完成させるためには、それなりの金額の設計料が必要となります。
設計者が実際に作るわけではないので、設計料が高価と感じることもあります。
しかし設計図面がないと住まいをつくることは出来ませんし、工事の内容を確実にチェック出来るのは設計者なのです。
計画中の図面作成から打ち合わせ、修正や確認申請の手間など、設計を行うには相当な手間がかかるものなのです。
この設計料の算定の為に、国土交通省から 建築設計・工事監理等の業務報酬基準 が策定されています。
平成21年の告示第15号です。
この業務報酬基準によれば、国土交通省が考える標準的な設計料を計算できます。
この基準では、設計や監理に必要とされる業務の内容と、住宅の床面積ごとに 設計に必要とされる時間が掲載されています。
この必要とされる時間に時給を掛けて、事務所経費を加算すれば、設計料が計算できるのです。
時給を3000円(日給24,000円)、事務所経費は人件費と同じ金額が必要とすると、以下のようになります。
床面積 | 100平米 | 150平米 | 200平米 | 300平米 |
詳細設計と構造計算が 必要な住宅 | 725万円 | 844万円 | 945万円 | 1120万円 |
詳細設計が必要な住宅 | 473万円 | 632万円 | 765万円 | 1018万円 |
その他の住宅 | 234万円 | 318万円 | 384万円 | 516万円 |
この中で、建築家による設計が 詳細設計が必要な住宅 に該当し、
ハウスメーカーなどの住宅設計が その他の住宅 に該当します。
RC造などで構造計算が必要な場合は、詳細設計と構造計算が必要な住宅 に該当します。
告示第15号で計算すると、かなり非現実的なほど高額になります。
建築家が100平米の住宅を設計すると、坪60万円の住宅では、住宅の工事費が1815万円に対して設計料が473万円ですから、工事費の26パーセントという高い割合です。
ハウスメーカーの住宅程度の設計に対しても13パーセントですから、普通の建築家に依頼する金額と同等なほどです。
坪100万円の住宅なら3000万円の工事費に対して15パーセントちょっとですから、なんとか標準的な金額といえそうです。
つまり、かなり高額な住宅が前提となっている基準といえるのです。
さすがに国土交通省が作っただけに、お金持ちが多いのでしょう。
と、冗談はさておき、これでは参考になりません。
そこで、坪100万円の住宅を基本として、坪60万円の住宅なら設計料を0.6倍すれば、現実に近くなりそうです。
設計料を0.6倍した表と、その設計料で坪60万円の住宅で工事費に対する設計料のパーセンテージを表にしました。
坪60万円の住宅の設計料(案)
床面積 | 100平米 | 150平米 | 200平米 | 300平米 |
詳細設計と構造計算が 必要な住宅 | 435万円 | 506万円 | 567万円 | 672万円 |
詳細設計が必要な住宅 | 284万円 | 379万円 | 459万円 | 611万円 |
その他の住宅 | 140万円 | 191万円 | 230万円 | 310万円 |
坪60万円の住宅の設計料率(案)
床面積 | 100平米 | 150平米 | 200平米 | 300平米 |
詳細設計と構造計算が 必要な住宅 | 24パーセント | 19パーセント | 16パーセント | 12パーセント |
詳細設計が必要な住宅 | 16パーセント | 14パーセント | 13パーセント | 11パーセント |
その他の住宅 | 8パーセント | 7パーセント | 6パーセント | 6パーセント |
この程度が標準的な設計料といえそうです。
つまり国土交通省の告示第15号による設計料の算定は、住宅の坪単価によって設計料を調整しないと使えないということになりそうです。
設計料は、設計や監理の内容によって、まったく変わってくることも分かります。
建築家による設計と、規格に沿って設計を行うハウスメーカー設計では、手間が倍くらい違ってくるのです。
また工事費については、ハウスメーカーよりも建築家が公平に工事業者を選ぶ方が安くなるという傾向もあります。
つまり設計料は、単独で比べても、あまり意味がないのです。
設計料は、工事費や設計・監理の内容を含めた、トータルのコストパフォーマンスで考えることが大切なのです。
20110902更新